防衛省が存在しないとしていた陸上自衛隊のイラク派遣時の活動報告(日報)が見つかった問題をめぐり、立憲民主党など野党6党は5日の衆院本会議を欠席した。今後の国会運営を話し合うために求めた与野党国会対策委員長会談を拒否されたため。野党は攻勢を強めており、今後の国会審議は不透明になっている。
5日の参院外交防衛委員会では、昨年3月に陸自内で日報の存在を把握していたのに防衛相に報告されなかったことについて小野寺五典防衛相が「大変大きな問題」と述べ、徹底的に調査する考えを示した。
この日は参院厚生労働委員会で厚労省の東京労働局長による「是正勧告」発言をめぐる矛盾、同財政金融委員会では財務省による決裁文書の改ざん問題も議論。政府答弁が覆ったことに対する野党の追及が一斉に強まっている。
野党6党の国対委員長は同日、日報をめぐり新たに報告遅れが判明したことを受けて対応を協議した。これを踏まえ、立憲民主党の辻元清美国対委員長が自民党の森山裕国対委員長に与野党国対委員長会談を求めたが、森山氏は拒否。そこで、野党6党は衆院本会議を欠席した。その後、文書による野党の申し入れに対し、森山氏は記者団に「熟慮し、返事をしたい」と前向きな姿勢を示した。
日報問題については、野党側は衆院予算委員会で集中審議を行うことを要求。日報が発見されたにもかかわらず、報告されなかった当時の稲田朋美防衛相らの参考人招致を求める意見も出ている。
ただ、9日に参院決算委、11日には衆院予算委で集中審議が予定されていることから与党側は難色を示しており、与野党国対委員長会談が開かれても野党が納得できる対応を示せるかは不透明だ。その場合、野党側は衆院の審議を欠席する構えで、国会情勢は流動化する。(斉藤太郎)