1日に平壌で行われた韓国芸術団公演を鑑賞する金正恩朝鮮労働党委員長夫妻=労働新聞ホームページから
平壌で1日夜に行われた韓国芸術団の公演で、海外に住んだ経験がある若い世代を北朝鮮当局が優先して観覧させていたと、南北関係筋が明らかにした。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長も観覧したが、若い世代を率いていく強い意欲を示す狙いがあったという。
公演には、韓国の歌手趙容弼(チョーヨンピル)さんや女性アイドルグループらが出演。同筋によれば、朝鮮労働党組織指導部が観衆を選ぶ際、北京やモスクワなどに住んでいた幹部の子弟で30代の党員らを優先した。外国の文化に触れた経験があり、公演を見ても動揺しないと判断。同時に金正恩体制を支えていく世代として重んじたという。
正恩氏は李雪主(リソルチュ)夫人と共に公演を鑑賞。観衆らに手を振る場面もあった。正恩氏は「(韓国芸術団と北朝鮮歌手が共演する)3日の公演を見るつもりだったが、ほかの日程ができて今日来た」と語ったが、最初から1日の公演を重視していたという。
労働新聞(電子版)は、正恩氏が鑑賞した1日の公演を2日付紙面の1面トップで報道していた。3日の南北合同公演を報じた4日付紙面は4面の地味な扱いだった。
韓国の情報機関、国家情報院は2013年10月、国会での報告で北朝鮮軍の軍団長級で44%が代わり、世代交代が進んでいると説明している。党や国会にあたる最高人民会議、政府機関でも30~50代の中堅幹部の登用が続いている。(ソウル=牧野愛博)