仮想通貨交換業者を介さない個人間の「相対(あいたい)」と呼ばれる取引を装って仮想通貨約1億9千万円相当をだまし取ったなどとして、警視庁と兵庫県警は、神戸市北区藤原台北町3丁目、青果業東健太容疑者(24)ら兵庫県内の22~24歳の男7人を詐欺の疑いで逮捕し、11日発表した。全員が容疑を否認し、東容疑者は「現場に行ったが取引の内容は全く知らなかった」と述べているという。
警視庁サイバー犯罪対策課によると、7人は昨年7月、東京都内の40代の会社社長の男性に、男性所有のビットコインと現金2億円との交換を持ちかけ、644・1BTC(当時約1億9千万円相当)を仮想通貨口座に送らせて詐取。さらに、このビットコインを事情を知らない横浜市内の仮想通貨交換業者「FSHO」に送り、手数料を引いた現金約1億7400万円と交換させた疑いがある。
東京都渋谷区のホテルラウンジに男性の代理人らが行き、男性は別の場所からスマートフォンで指定された口座にビットコインを送金。東容疑者らは「コインが届いていない」などとうそを言い、現金を払わずに車で逃走したという。取引の際、スーツケースに入れた札束のようなものを見せて信用させていたという。
仮想通貨交換業は昨年4月の改正資金決済法施行に伴い金融庁への登録が義務づけられ、口座開設などには本人確認が求められる。業としてではない場合の相対取引は登録は必要なく、マネーロンダリングや脱税の温床になり得るとして金融庁や警視庁は警戒を強めている。「FSHO」は今月、マネーロンダリング対策が不十分などとして、金融庁から業務停止命令を受けている。
仮想通貨の相対取引をめぐっては昨年11月、東京・赤坂のホテルの一室に取引相手を引きずり込み、約1億円相当のビットコインを奪おうとしたとして少年ら計6人が強盗未遂の疑いで逮捕される事件も起きている。(荒ちひろ)