逃走事件を受けて謝罪する松山刑務所幹部ら=愛媛県東温市、藤井宏太撮影
愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場で8日夜に受刑者が逃走した事件で、松山刑務所(愛媛県東温市)は11日、記者会見を開いた。吉田博志所長が「近隣住民の皆様、関係者の皆様、一般社会に、多大な心配とご迷惑をおかけしました」と謝罪した。
同刑務所は会見で、愛媛県警が単純逃走容疑で公開指名手配している平尾龍磨容疑者(27)は昨年12月の入所以降、刑務官や臨床心理士と計8回面談を実施したが、逃走につながる動機などは聞いていないと説明。今年3、4月に計2回、生活態度を巡って口頭注意されたが、吉田所長は「(逃走に)どう影響したかは本人しか分からないが、改善更生を促す業務の一環で、毅然(きぜん)とした態度で全員に臨んでいる」と語った。
作業場は民間の造船所の中にあり、施錠などがされないことから「塀のない刑務所」として知られる。吉田所長は今後について、「法務省の検討委員会と連携し、施設に合った警備強化を検討したい」と話した。
県警は8日午後6~7時に作業場を逃げ出した疑いで、広島県尾道市の向島を中心に、広島県警とともに平尾容疑者の行方を捜している。事件発生以降、刑務所近くの民家から盗まれた車や平尾容疑者が刑務所で使用していたとみられる靴が島内で発見されている。(藤井宏太)