北朝鮮をめぐる各国の立場
5月の首脳会談を前に、中国の外相が来日した。日中双方は首脳レベルの往来を含め関係をさらに前進させることで一致。共通の課題である朝鮮半島の非核化についても議論を交わした。ただ、拉致問題の位置づけなどに溝もあり、先行きは見通せない。
東京・麻布台の外務省飯倉公館。会談に先立ち、河野太郎外相は報道陣の前で中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相と笑顔で握手したが、王氏は表情を緩めなかった。
日本政府は今回の会談を「新たな日中関係を築くスタート」(外務省幹部)と位置づけた。河野氏は会談の冒頭、今年が日中平和友好条約締結40周年であることに触れ、「条約の名にふさわしい関係を再構築していきたい」と呼びかけた。
中国側も関係改善の動きを評価。王氏は会談後、記者団に「対中関係を改善したいとの日本の姿勢を支持する」と表明した。
中国外交筋は関係改善を図る狙いについて「米国やインドなどとの難しい外交局面が続く中で、日韓と歩み寄ることは現在の国益にかなう」とする。
王氏は会談後、記者団に「我々の努力で次のハイレベル会談が確認された」と述べた。日本側によると、双方は習近平(シーチンピン)国家主席も含む首脳の往来を進めることで一致した。
ただ、王氏は習氏来日の時期や形式には踏み込まなかった。背景には「安倍政権への疑念がある」と中国の日本研究者は解説する。
「安倍首相は、今後の中日関係をどうしたいかを具体的に語らない。対ロシアで北方領土問題など歴史的課題の解決にあれだけ前のめりになった姿を見れば、中国との付き合いが本気でないことは誰でも分かる」
政府系シンクタンクの中国社会…