日中外相会談を前に握手をする王毅外相(左)と河野太郎外相=2018年4月15日午後4時32分、東京都港区の飯倉公館、代表撮影
中国の王毅(ワンイー)国務委員(副首相級)兼外相が15日来日し、河野太郎外相と都内で会談した。中国外相の単独来日は約9年ぶり。王氏は会談で習近平(シーチンピン)国家主席の来日に前向きな姿勢を示し、両氏は関係改善の流れにある日中の首脳往来を着実に進めていくことで一致。米朝首脳会談に向けた北朝鮮の核ミサイル問題についても議論した。
王氏の来日は、日中韓外相会談が開かれた2016年8月以来。単独での来日は外相就任後初めて。5月に李克強(リーコーチアン)首相らが出席して東京で開かれる日中韓首脳会談の地ならしの意味合いがある。
河野氏は会談冒頭、王氏の来日を「日中関係改善の大きな一歩と受け止めたい」と歓迎。王氏は「今回、私が招請に応じたのは日本側が前向きな対中政策をとったことへの答えだ」と応じ、「両国のハイレベルな交流の条件を整え、準備をしていくことができれば幸いだ」と語った。会談後、河野氏は記者団に「日中の首脳往来を通じて、全面的な関係改善を進めていくことで一致した」と述べた。
王氏は3月、習氏と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談に同席した。河野氏との会談に先立ち、成田空港では「最近の半島情勢の積極的かつ重要な変化について日本側に説明する。日本が朝鮮半島問題の政治的解決に向けてより積極的、建設的な役割を果たすことを希望する」と記者団に語った。河野氏は会談後、記者団に「拉致問題の一日も早い解決に向け、中国の理解と協力を今回も要請した」と語った。
両国政府は16日、日中間の経済協力について協議する「日中ハイレベル経済対話」を約8年ぶりに開催する。同日午後には、安倍晋三首相と王氏が面会する予定。(鬼原民幸、冨名腰隆)