明大の今季初戦を前に催された星野仙一さんの追悼セレモニー。選手らは喪章をつけて臨んだ=神宮球場
東京六大学野球連盟は21日、春季リーグ戦の東大―明大の試合前に、明大OBで1月に70歳で亡くなった星野仙一さんの追悼セレモニーを開催した。次女の星野和華さんらが出席。明大の選手は左肩に喪章をつけ、球場の大型ビジョンに映し出される生前の映像を見つめながら、3季ぶりのリーグ優勝へ決意を新たにしていた。
星野さんは明大2年時に秋季リーグの立大戦で無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)を達成するなど通算23勝を挙げ、4年時には主将を務めた。3分半の映像には当時の活躍シーンや、卒業後も「おやじ」と慕った故島岡吉郎(きちろう)監督の指導を受ける姿などがあった。
島岡監督が繰り返し説いた「命がけで闘え」の言葉が、「燃える男」と評された星野さんの原点になったという。「『命がけで闘え』を実現して全うした、短かったが輝かしい人生だった」と、明大のOB会長を務める元プロ野球選手の土井淳(きよし)さん(84)は振り返る。星野さんと同じ岡山県出身でもある土井さんは「後輩たちには彼の生きざまを継承してほしい」とも話した。
試合は9―2で東大に快勝した。先発の森下暢仁(まさと)(3年、大分商)は開始直後、東大の1番辻居新平(3年、栄光学園)に本塁打を浴びたが、その後は立ち直り、打者としても活躍した。「セレモニーの後で『やってしまった』という気持ちでいっぱいでしたが、勝ててよかった。偉大な大先輩の、あの気迫や気持ちの強さをもっと見習って、投げる試合は全部勝ちたい」。吉田有輝主将(4年、履正社)も「星野さんの熱さを見習って、優勝を目指します」と意気込んだ。(杉山圭子)