本塁打を含め、2安打2四球だった天理の太田
高校野球の春季奈良県大会の2回戦で21日、昨夏の甲子園4強の天理が大和広陵を18―1(6回コールド)で破り、今年の公式戦の初戦を飾った。今秋のドラフト候補、3番主将の太田椋遊撃手(3年)にも、特大の高校通算24号が飛び出した。
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「打った瞬間、(本塁打と)分かりました」
太田がその力を見せつけたのが、先頭で打席に入った五回の第3打席だ。カウント1―1から、真ん中にきた直球を完璧にとらえると、打球は両翼93メートルの佐藤薬品スタジアムの左翼フェンスを軽々越え、芝生席後方の林の中へ消えた。
冬場は筋力トレーニングでパワーアップに成功。体重は5キロほど増えて76キロになった。一回は右越え二塁打を放ったが、「秋までならライトフライ。打球が思ったより伸びた」と手応えはばっちりだ。
主将の一打だけではない。三回には5番碓井雅也(3年)、六回には6番今村啓人(3年)が、いずれも中堅から逆方向へ本塁打を放つなど、チーム合計で15安打18得点。中村良二監督も「できすぎるくらい打ってくれた。碓井、今村が逆方向にあんな打球を打ったのは初めて。振り込んできた成果は予想以上」と目を細めた。
昨夏も3番打者としてチームを引っ張った太田が、この日をどんな心境で迎えたのかを語る。
「ひと冬越して、この春の1試合目。成長した姿を色んな人に見せる。今年の天理は強いという印象をつけるために大事」と。
奈良は昨年までの20年間、天理が9回、智弁学園が9回、桜井と郡山が1回ずつと夏の甲子園出場を分け合っている。
昨年は智弁が選抜に出場したが、夏は奈良大会の準決勝で天理が智弁を8―7で破り、そのまま甲子園4強まで駆け上がった。今年も同じように智弁が選抜に出場し、1勝を挙げたが、今年はどうなるか。
「まずは春季大会をしっかり戦って、自信をつけられるようにしたい」と太田。最大のライバル智弁をはじめ、各校に自分たちの強さを見せつける――。夏へ向けた戦いはもう始まっている。(山口史朗)