後半38分、パトリック(左)は決勝ゴールを決める=上田幸一撮影
(21日、広島1―0鳥栖)
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同点のまま時計の針が試合終了に近づいても、今年の広島には何かが起きる雰囲気がある。
この日も後半38分だ。敵陣中央付近から水本の出した縦パスにティーラシンが素早く反応。「見えていなかったけど気配を感じた」と、パトリックの足元にボールを落とす。するとパトリックは「ボールが来るって感じた」。あとは右足を振り抜くだけ。ボールはゴール右へ突き刺さった。これで3戦連続の6点目だ。
スタジアムの気温は26・1度。それ以上に日差しが強く照りつけていた。パトリックは「最後はボールをキープするのが精いっぱいだった」と明かしたが、後半、見るからに疲れていたのは鳥栖のほうだ。球への反応が遅くなり寄せきれない。そこに、城福監督の積極的な采配が効いた。
「うちは先発として出た選手がタスクを全うして次の選手を生かすようにバトンを渡していく。お互いのリレーションシップがうまくいっている」。後半、鳥栖よりも早めにフレッシュな選手を投入し、対照的に球を動かし続けた。ゴールをお膳立てしたティーラシンも後半10分から入った一人だった。
これでリーグ戦の12得点中10得点が後半に決めたものだ。「後半、相手が少しでも間延びしていたら、こちらはやれる自信がある」と城福監督。開幕から9戦連続負けなしの強さ、ここにあり。(藤田絢子)
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○城福監督(広) リーグ戦は開幕から9戦連続負けなし。「3日前のルヴァン杯で負けて公式戦で初めて黒星をくらったのでどうしても勝ちたかった」
○パトリック(広) 3戦連続6点目となる決勝ゴール。得意の頭ではなく足で決め、「振り抜く方が気持ちいいね」。
○林(広) 9戦で2失点の守備に、「チーム全体でハードワークしている結果」。