新幹線車両を点検するJR西日本社員=2018年4月20日、福岡県那珂川町の博多総合車両所、金子淳撮影
乗客と運転士計107人が死亡し、562人が負傷したJR宝塚線(福知山線)脱線事故から25日で13年。JR西日本は「安全最優先」を誓ってきたが、昨年12月、新幹線のぞみ34号の台車に破断寸前の亀裂が見つかった。国は事故につながりかねない新幹線初の「重大インシデント」に認定。JR西の安全管理に改めて厳しい目が向けられている。
3月下旬、大阪市内で、台車亀裂問題を検証した有識者会議が、JR西の副社長ら幹部4人に提言書を示した。脱線事故後の安全対策には一定の評価をしたが、のぞみ34号の乗務員らが音など計30の異変に気づきながら新大阪まで2時間半、運行を続けたことを問題視。大事故がなかった新幹線では危機管理に甘さがあったとし、「組織全体が安全最優先に転換できていない」と厳しく指摘した。
JR西は台車の亀裂について、メーカーの川崎重工業が、設計基準で厚さ7ミリ以上と定められた底面を最も薄い部分で4・7ミリまで削ったことが一因とした。
しかし有識者会議は、設計開発時から人的ミスを考慮した施工や保守が必要とし、メーカー任せだったJR西の管理態勢にも言及。「トラブルが発生して慌てて対策に取り組む姿は改めるべきだ」と戒めた。有識者会議座長の安部誠治・関西大教授の目には、提言を受けた副社長らは不満げに映った。実行を促すため、「1年後にどこまで進んだか見せていただく」と釘を刺したという。
JR西は脱線事故後、安全関連…