北朝鮮が最後に核実験を行ってから「230日」の表示がある地球平和監視時計にも、朝から大勢の観光客が訪れた=21日午前9時58分、広島市中区、上田幸一撮影
北朝鮮の新たな宣言に、広島、長崎の被爆地の関係者からは様々な声が上がった。
北朝鮮「核実験、必要なくなった」 実験場廃棄を宣言
「百八十度以上の外交政策の転回を見せた。びっくりした」。長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長の川野浩一さん(78)はそう語った。北朝鮮の今回の発表を「アメリカに先手を打つという北朝鮮の戦術の一つ」とみる。ミサイル発射の中止や核実験場の廃棄が確実に実行されるまで、きちんと監視することが必要と指摘する。
長崎市の田上富久市長は「非核化に向けて、一歩前進と評価できる一方、核の放棄についてはふれておらず、今後も核攻撃能力を保持していくことが懸念される」との談話を発表した。今後予定される南北首脳会談や米朝首脳会談などを通して「北朝鮮が後戻りできないような検証の仕組みづくりや、核物質生産停止などの具体的な次のステップについて交渉がなされ、核の放棄に向けて進展することを期待する」とした。
「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森滝春子共同代表(79)は「核戦争の危機が回避されたわけではないが、北朝鮮からの今回の意思表示はそれ自体、歓迎すべきでないか」と話した。
昨年成立した核兵器禁止条約を挙げ、「日本をはじめ条約に参加しない国は、北朝鮮の核情勢を不参加の理由にしてきた。(条約に後ろ向きな国々は)国際社会とともに核廃絶に向かって行く機会にするべきだ」と指摘した。
広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(73)は、将来的に北朝鮮が核兵器を廃棄し、北東アジアの非核化につながることを望む。「今回の動きが核軍縮につながるのであれば、今度は日本が米国に核兵器の削減を働きかけていってほしい」