集会で発言する参加者=2017年4月23日午後7時43分、東京・永田町、竹花徹朗撮影
「特別な誰かの被害ではない」「セクハラを黙認するのはもう終わりにしよう」――。財務省の福田淳一事務次官によるセクハラ問題を受けて、被害者たちを孤立させない環境を考える集会が23日、国会内で開かれ、参加者からこんな声が上がった。100人を超す弁護士や大学教授らが実行委員会に名を連ね、約200人が集まった。
集会では、セクハラ被害を訴えたテレビ朝日の女性社員が一部で批判されていると指摘し、被害の実態を社会で共有しつつ、被害者の孤立を防ぐためにはどんな法整備が必要か、などが話し合われた。
男女雇用機会均等法では、職場や仕事先でのセクハラを防ぐため、必要な措置をとることが事業主に義務づけられているが、労働政策研究・研修機構(JILPT)の内藤忍(しの)・副主任研究員は「被害者のニーズに沿ったかたちの救済が得られるような仕組みになっていない。セクハラ被害者が孤立してしまう一因は現行法制度にある」と指摘。「被害者は心身に不調をきたし、声を上げられない人も多い。救済から支援までの態勢をしっかり構築することが必要だ」と述べた。
また、被害相談をしやすくするためには「(同じ組織内ではなく)中立的な第三者による窓口の設置が必要だ」とも訴えた。
市長による複数の職員へのセクハラ疑惑が取りざたされている東京都狛江市からは、山本暁子市議が出席。市長は疑惑を否定し、問題の解明が進んでいないと紹介した。
山本市議は取材に対し、市当局が疑惑を調査するという手法や、財務省の調査でも同省の顧問弁護士が担っていることについて、疑問を呈した。「ともに当局に都合のいい調査になる恐れがある。省庁や市役所は、一個人と比べて大きな力の差がある。調査で身元が明らかになるなど、被害者が不利益を被りかねない」として、第三者による調査を求めた。
集会には、記者が安心して働ける環境を整えるよう報道各社に求める声明を出した、新聞労連と民放労連の担当者も参加した。新聞労連の小林基秀・中央執行委員長は「21、22の両日開かれた全国女性集会で、多くの女性記者から、被害体験や、やり過ごしてきてしまったことへの後悔などを聞き、胸が詰まった。こんなことはもう終わりにしなければならない」と訴えた。(三島あずさ、吉沢英将、丸山ひかり)
■福田氏の処分…