陸上自衛隊のイラク日報問題で、防衛省は23日、宿営地を置いたサマワ近郊のルメイサで2005年12月、陸自車列が群衆に囲まれた「ルメイサ事件」の概要を記した報告書を公表した。「警備隊員と至近距離で対峙(たいじ)」とあるほか、群衆の中に「遠巻きに見ていた者2~3名が武器を携行」などの記載があり、緊迫した状況がうかがえる。
イラク日報問題
報告書は、今月16日に開示したイラク日報に「別途報告のとおり」と記載されたもの。小野寺五典防衛相は23日、記者団に「探索したところ、七つの文書を確認した。日報とは形式が異なるが、日報とともに報告された可能性がある」として公表すると説明した。
事件は05年12月4日、ルメイサで、自衛隊車列が群衆に囲まれ、銃を撃つかどうかの判断を迫られた。同日付の日報には「養護施設竣工式(しゅんこうしき)準備中に陸自車両が群衆と遭遇。車両に被害あり」と書かれていた。緊迫した状況のいったんが分かるが、「別途報告のとおり」ともあり、詳細は別の報告書に記載していることを示唆していた。
報告書の表題は「ルメイサにおけるサドル派事務所付近における抗議行動等について」。陸自部隊が午前10時37分に竣工式の準備を開始したところ、「ミラーを割られ、車両を蹴られるなどの敵対的行動を受ける」と記されていた。車両12台の前方ミラーが破損し、被害状況の写真もある。
小野寺氏は、今月20日を期限とした自衛隊の海外派遣時の日報の探索では、集約結果も公表。国連平和維持活動(PKO)など重複分を含め約4万3千件の日報が集まった。
イラク派遣の日報については、昨年3月下旬に発見していながら、上層部に報告していなかった疑いのある陸自研究本部(研本、現・教育訓練研究本部)で、新たに34日分(イラク復興支援群作成の3日分、イラク後送業務隊作成の31日分)が見つかり、近く開示するとしている。(藤原慎一)