NTTグループは23日、漫画雑誌などを無料で読める三つの「海賊版サイト」について、接続遮断(サイトブロッキング)を実施すると発表した。海賊版サイトによる著作権侵害の急増を受け、政府が13日、インターネット接続事業者に事実上、遮断を要請したことを踏まえた。事業者で遮断を表明したのはNTTが初めて。
接続遮断は一般的に利用者の通信をチェックすることが必須で、憲法が保障する「通信の秘密」を侵害する恐れがあるとの指摘が専門家などから出ている。
グループ内のNTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTぷららは準備が整い次第、政府が名指しした「漫画村」など3サイトに利用者が接続しようとしても強制的に遮断する。ただ23日現在、3サイトともコンテンツは見られなくなっており、運営者側が閉鎖するなどした可能性がある。NTTは「今後再び見られるようになった場合に備えた措置」としている。
同じ通信大手のソフトバンクは取材に対し「早急に対応すべき問題だが、慎重な議論が必要だ」、KDDIは「対応を検討中」としている。
国内では、人格権を侵害する児童ポルノに限定して接続遮断が実施されてきた。遮断する法的根拠はないものの、被害の大きさやほかに対策がないことなどから、刑法が定める「緊急避難」にあたるとの理屈だ。
政府は13日、海賊版サイトについても緊急避難として「遮断を行うことが適当」と指摘した。同時に接続遮断の根拠を明確にするため、「すみやかに法制度の整備に向けて検討する」としている。(徳島慎也)