高校生で選出された今野紀花(右)=味の素ナショナルトレーニングセンター
日本バスケットボール協会は、24日に女子日本代表候補として過去最多の52人を発表した。2017年が34人、16年が18人だったことを踏まえると、異例の多さ。世界で勝てるバスケットボールを目指し、代表で2チーム制を採用したためで、22人が代表初選出となった。若手や代表未経験者にチャンスを広げるとともに、厳しい生き残り競争を持ち込むことで、レベルアップを狙う。
世界で勝てない現状
14日から25日まで、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで行われた第1次強化合宿には、Wリーグの全チームと、大学・高校生の有望株が顔をそろえた代表候補のうち、体調不良の5人を除く47人が参加した。
代表常連の渡嘉敷来夢(らむ、JX―ENEOS)は、「本当に試験みたい」と明かしつつ、「まだ選考段階。若い選手もベテランも、誰もが本当に代表になりたいという気持ちで臨んでいるのがわかる」と、合宿の緊張感をにじませた。
女子日本代表は昨年、アジア杯で、08年北京五輪銀メダルのオーストラリアを破るなどし、3連覇を達成した。日本バスケットボール協会の三屋裕子会長は、「国際連盟や他国からも高い評価を受けており、今ではマークされる立場」と話す。
ただ、アジアを出るとなかなか勝てないのが現状だ。ワールドカップ(W杯)の直近2大会は10位以下。リオ五輪では世界1位の米国に善戦したものの、8強にとどまった。
「アジアで勝つバスケと、世界で勝つバスケが同じかという問題意識があった」と、同協会の東野智弥技術委員長。W杯(9月、スペイン)とアジア大会(8月、ジャカルタ)のそれぞれに照準を合わせた2チームを作ることで、アジアでの地位を維持しつつ、世界にも照準を合わせる。
コーチ「面白い若手見つかった」
W杯に挑むAチームの指揮を執るトム・ホーバス・ヘッドコーチは「面白い、若い選手が見つかった。両チームで同じ(プレー)システムを採用するので、けが人が出たら、アジア大会を戦うBチームの選手にもチャンスがある」と話し、代表全体の底上げも図りたい考えだ。
高校生ながら初選出され、若い世代筆頭の2人も意気込む。聖和学園3年の今野紀花(のりか)は「体の使い方もプレーの突き詰め方も追いつかないけど、少しでも爪痕を残したい」。八雲学園3年の奥山理々嘉(りりか)は「東京五輪まで2年。すごい先輩たちがいるので厳しいとは思うが、意識を高く持って代表に残っていきたい」。
5月1日から7日にかけて第2次合宿が行われる。ここで選手を見極め、W杯のメンバーとアジア大会に向けたメンバーを選考する予定。選手たちにとっては勝負のGWとなりそうだ。(松本麻美)