混合デュエットFRで演技する(手前から)足立夢実、安部篤史組=池田良撮影
シンクロナイズド・スイミングから改称したアーティスティックスイミング(AS)で、男子選手が活躍し始めている。東京辰巳国際水泳場であったジャパンオープンでは、初めて男子ジュニア選手が参加した。「男子禁制」だった競技環境が徐々に変化している。
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28日の混合デュエットのテクニカルルーティン(TR)。今年7月の世界ジュニア選手権代表で、中学3年の男子選手、岩崎尽真(楓心舘ク)、高校2年の女子選手、宮内花菜(アテナアクアメイツ)組が登場すると、会場が沸いた。
選考会を機に3月にペアを組んだばかり。1980年代を代表する米歌手のマイケル・ジャクソンの曲に合わせ、堂々とした演技を披露した。男子選手の岩崎は「下手でも、ジャパンなのでできることを精いっぱいやりました」。
岩崎は通っていた小学校の「シンクロ教室」がきっかけで、小学6年から競技を始めた。2012年ロンドン五輪でチーム、昨年の世界選手権では混合デュエットで出場した足立夢実が指導するクラブに所属。わずか3年で基礎をマスターし、「(女子と)脂肪の付き方や筋力の差があるので難しい」という混合デュエットに取り組む。
国際水連の規定では、男子選手は混合デュエットしか出られない。一方、日本水連の主要大会では、チームなど全種目で出場を認められている。
「結果を出して広めたい」
日本選手権に昨年初めて男子選手として出場した中学2年の佐藤陽太郎(茨城・ジョイフルアスレチッククラブ)は今年、チームなど3種目に出場した。「今までは習い事を聞かれて『シンクロ』と答えると、『女子の?』と言われていた」と佐藤は明かす。小学生のころは男子更衣室もなく、プールから離れた場所で1人着替えた。だが、昨年大会から更衣室が用意され、今年からは同世代の岩崎も参加するなど周囲の見る目も変わった。
クラブでは遠征で別部屋を用意しなければならない男子選手が敬遠されることもある。ただ、初心者向けのリズム水泳のコースには男子選手もいるといい、日本水連では有望選手を対象にした合宿もする。昨年の世界選手権に混合デュエットで出た男子選手の安部篤史(楓心舘ク)は「一般には女性のスポーツというイメージがあるかもしれないが、AS界では男子の存在が認められ始めている。僕が結果を出して、もっと広めたい」と話す。(照屋健)