長野県が県政への意見を募っている「県民ホットライン」のサイトに、特定の民族や人種を標的に差別をあおるヘイトスピーチにあたる表現が複数、掲載されていることがわかった。ツイッターで疑問の声が相次いでいる。長野県は「事態を把握しており、対応を検討する」としている。
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2017年3月に受け付けた意見では、在日韓国人たちを「ならず者」と断じ、「我々の血税をならず者たちに垂れ流しています」「このならず者たちは日本国に寄生する寄生虫です」などの表現がある。また、16年12月に受け付けた意見に「韓国人朝鮮人その子孫の犯罪率最悪」「新たな在日特権を要求している」などとある。
「県民ホットライン」では、寄せられた意見とともに長野県の担当者の回答をホームページで公表している。意見は原則として全文を掲載している。だが、公表が適切でないと思われる表現について削除や修正をするとのガイドラインを設け、明示している。
長野県広報県民課は「県として意見のすべてを容認しているわけではないが、個人の誹謗(ひぼう)中傷にかかわる部分を除いて、できるだけ原文を出すスタンスでやってきた」と説明。ただ、今回の事態を受け、対応を検討するという。
ヘイトスピーチに詳しい師岡康子弁護士(東京都)は、長野県のサイトに複数の露骨なヘイトスピーチにあたる表現があると指摘。「県が不適切ではないと判断したのだからと、ほかにも使われてしまうおそれがある」と影響の大きさに懸念を示す。さらに16年6月に施行されたヘイトスピーチ対策法は、地方自治体にヘイトスピーチをなくす取り組みを求めていることから、「差別をなくす取り組みをするべき県のサイトに掲載すること自体が大きな問題だ」と指摘している。(岡林佐和)