本番に向け、フラダンスの振り付けやステップを確認する男性職員ら=茨城県ひたちなか市表町
国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)で、フラダンスの祭典「ひたちなかフラフェスティバル」が13日に開催される。女性のイメージが強いフラダンスだが、昼の式典で勇ましい踊りを見せる男たちがいる。正体は、市職員有志の急造チーム。猛特訓の成果を、会場で披露する。
「胸張って威勢よく! おなかに力入れて! 」。7日夜、ハワイの音楽が流れる市内のスタジオで、腰みのを着けて踊るのは、市観光振興課などの男性職員9人。フラダンス教室を主宰する及川英美子さんの熱血指導のもと、額に汗を浮かべ、手足の動きを合わせる練習中だった。20代の新人から50代の課長まで年齢層は幅広いが、中高生の部活さながらの熱気だ。
フラフェスは、市とひたちなかフラ協会の主催。公園を訪れた観光客をもてなす目的で始まり、今年で10年目だ。本来、フェスのメインは、約1千人の女性が披露する舞台発表。市職員は、会場設営などを担う裏方の存在だった。
しかし、6年前。「これほど多くの女性が楽しんでいるフラの魅力。見ているだけじゃ絶対分からない。阿波踊りと同じ。男性も表舞台に上がってみなさいよ」。及川さんの一言がきっかけで、市の男性職員がフェスに参加することになった。
今年は市観光振興課などの9人が、国王を守ろうと、白人支配に挑んで散った戦士たちの曲で踊る。さらに、9人を含む若手ら26人は、サトウキビを運んだハワイ初の鉄道について歌う曲に合わせて踊る。
市職員だけに、練習が始められるのは4月の人事異動後。さらに同市では4~5月、同公園のネモフィラの花を見ようと県外から押し寄せる観光客に対応するため、職員らは休日返上で駅頭などに立ち、観光案内や駐車場の交通整理に奔走する。多忙を極める中、フェスのために週1、2回は勤務後に及川さんのもとに集まり稽古に励む。昼休みも、自主練習にあてる。
初期から参加する鯉渕友和さん(38)は、「最初は恥ずかしくて、なんで僕らが、と思った」と振り返る。だが、「演技を終え、観客から大きな歓声と拍手を浴びたときの達成感はたまらなくて、はまった。今回も『やってやるぞ』の気持ちです」と意気込む。
フラフェスは13日午前10時~午後4時(雨天決行・荒天中止)。県内外から集まる約20団体の女性が優雅な踊りを披露する。男性フラの演技は正午~午後1時にある。(佐藤仁彦)