内閣府で国家戦略特区を担当していた藤原豊地方創生推進室次長(現・経済産業省貿易経済協力局審議官)が2015年8月に愛媛県今治市などに出張した際、移動のために学校法人「加計学園」の車を利用した問題で、出張記録には「官用車利用」と記載されていたことが分かった。虚偽記載だった可能性があり、内閣府は法令上の問題がなかったかを調べている。
「過去にないウソつき政権」自民内に危機感 加計問題
内閣府の資料によると、藤原氏は15年8月5~6日に熊本県、岡山県、愛媛県に出張し、国家戦略特区・構造改革特区に関する意見交換などを行った。梶山弘志地方創生相は14日の国会で、移動手段の一部に「民間事業者が管理運用する業務用車両」を使ったと認め、「公務への疑いを招く結果とならないよう、常日ごろから慎重に対応する必要がある」と述べていた。
一方、内閣府が15日に野党の合同ヒアリングに提出した出張記録によると、藤原氏が8月5日に熊本空港~熊本市内、熊本市内~熊本駅を移動した際と、翌6日に岡山駅~今治市内、今治市内~松山空港を移動した際は「官用車利用」と記されていた。このほかに車で移動していた区間はなかった。内閣府によると、車での移動について旅費の請求はなかったものの、虚偽記載だった可能性がある。
今治市は15年6月に国家戦略特区での獣医学部新設を申請しており、加計学園は当時、獣医学部の事業者になることを目指していた。国家公務員倫理規定は、交通事情などから相当と認められる場合に、利害関係者が日常的に使っている車に限って、車の提供を受けることを認めている。