大学教育の半分を支える存在となった非常勤教員。増加の背景には、授業のコマ数が多い語学や研究者の少ない分野などで大学側がその力に頼らざるを得ない事情がある。ただ、所属大学や別の本業がなく、非常勤職だけで生計を立てている教員は厳しい状況に置かれている。
大学教員、半数は非常勤 常勤も4分の1が「期限付き」
埼玉県在住の女性(59)は4大学で非常勤講師として英語を教える。平日は2~3コマの授業がびっしりと並ぶ。自宅から片道2時間かかる大学もあり、「帰宅するとすぐ翌日の授業の準備に追われる。自転車操業です」と話す。学生の力をつけるためには英作文を添削して返す授業をもっとしたいが、答案を見られる時間との兼ね合いで年3、4回が限界という。
雇用はすべて単年度で、秋になると「来年は大丈夫だろうか」と、不安な気持ちで過ごしてきた。ただ、労働契約法の改正で、有期雇用で働く人は契約が更新されて通算5年を超えると4月以降、無期契約に転換できるようになった。女性は3校との契約が3月で通算5年となり、無期転換の手続きを順次進める。
「ヒヤヒヤしなくてよくなるのはいいが、問題が解決したわけではない」と女性は言う。常勤教員との所得の格差は大きく、税金などが引かれた後の年収は300万円を割り込む。「休みが1日ほしいが、勤務を減らすと収入が足りない。今の生活を続けられるか不安です」
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