竜電(奥中央)との立ち合いで脳しんとうとみられる症状を起こした北勝富士(手前)=藤原伸雄撮影
(22日、大相撲夏場所 10日目)
相撲特集:どすこいタイムズ
立ち合いで竜電と激しく頭をぶつけ合った北勝富士が、土俵に背中から倒れた。しばらく立ち上がれない。取組後の本人の説明によると、軽い脳振盪(のうしんとう)とみられる。だが、この立ち合いは呼吸が合っていなかったとして不成立。ふらふらしながら立った北勝富士は、仕切り直しの一番で敗れた。
この取組を裁いた幕内格行司の木村寿之介は「一瞬、(北勝富士が)相撲を取れなくなった場合のことを考えました」。大相撲ではけがなどで相撲を取れる状況でない場合、勝負を預かることができる。過去には、初代横綱若乃花と出羽錦が立ち合って3度引き分けた例などがある。
だが、北勝富士は立ち上がり、顔をたたいて仕切り線に戻った。その際、「大丈夫か?」と声をかけた寿之介は、北勝富士の表情から続行できると判断したという。
取組後、北勝富士は西の花道の奥でふらつき、うずくまった。意識はあったのかと問われると、「力が入らなかった」と悔しさをにじませた。3度も不成立となった立ち合いを振り返り、「あっち(竜電)が早く立った」と話した。
審判部は各力士に対し、立ち合いで呼吸を合わせ、両手をつくよう厳しく指導している。この日も土俵下から藤島審判長(元大関武双山)が両力士に対し、口頭で注意した。(鈴木健輔)