クリップ広島で昨年開かれた母親向けのイベント=同店提供
若者のクルマ離れや少子高齢化を背景に新車販売の先行きが厳しさを増す中、トヨタ自動車や系列販売店が、車に関心がない人に気軽に店に立ち寄ってもらおうと知恵を絞っている。スポーツ施設や保育所などを併設するほか、営業トークをしない「車を売らない店舗」までお目見えした。
今月3日、トヨタの張富士夫元社長が剣道場の「道場開き」に姿を見せた。「地域の若い人たちの剣道熱につながれば」と語りかけた場所は、自動車の販売店。ネッツトヨタ名古屋が7日に新装オープンした「港・名四店」(名古屋市港区)だ。
販売店の3階は「多目的ホール」。ここは板張りで剣道のほか球技、講演会に利用できる。ネッツトヨタ名古屋の小栗成男社長は「『車を買わされる』という販売店のイメージを払拭(ふっしょく)し、街の人たちが集って楽しめる場所にしたい」。
車は展示にとどめ、売っているのは高級雑貨や食べ物だけ、という新型店舗も3月にお目見えした。東京・有楽町の複合商業ビル、東京ミッドタウン日比谷の1階にできた「レクサスミーツ」だ。
明るい照明の店内中央に2台の車が並ぶが、主役は高級カメラや化粧品、カバンや文房具といった約450点の雑貨。ビルに立ち寄った買い物客に、「高級車レクサスのある暮らし」を身近に感じてもらいたいとトヨタ本体が発案した。
レクサス部門を担当するトヨタ…