職員と学生らがもみ合う京大正門前=2018年5月1日午前、京都市左京区、佐藤慈子撮影
京都大学吉田キャンパス(京都市左京区)の周囲に並ぶ立て看板(タテカン)の撤去を求め、大学側は1日朝、タテカン一つずつに通告書を貼りつけ始めた。この日、施行されたタテカンを制限する京大の新たな規定に基づく動き。抗議する学生らと激しいもみ合いになり、大学側が貼りつけては学生がはがす応酬が続いた。
「京大の文化」立て看板、景観条例違反指導で学生ら困惑
通告書は、タテカンがそのままになっている場合、大学が撤去するとの内容。学生たちは「なんで貼るんだ」などと抗議した。
タテカンは、学生運動が盛んになった1960年代から目立ち始め、数や内容の多様さで「京大名物」と言われることもあった。京大は4月、タテカンの設置団体に対し、月内に撤去するよう通告していた。
京都市は2007年から景観に関する規制を強化し、タテカンが擁壁への設置を禁じた市の条例に違反するとして、昨年10月に京大に文書で指導。これを受けて京大は同12月、総長が認めた団体に限り、指定された期間と場所に置くことを認める規定を設けた。
学生の一部は「一方的だ」と反発し、話し合いを求める要求書を出したが、大学側は応じていない。4月30日には、学生主催の講演会が学内で開かれ、学生や地域住民ら約60人が参加した。「誇るべき文化」(学生)、「京大は自由な場所であってほしい」(地域住民)との声が出た。