安倍晋三首相の妻昭恵氏付の職員が、森友学園との土地取引で財務省に問い合わせたことを示す文書が明らかになり、政権はまたも大きな火種を抱えた。大阪地検による捜査と、同省による改ざん問題の調査結果公表を控え、政権運営はさらに厳しくなりそうだ。
首相は23日の衆院厚生労働委員会で、昭恵氏付の政府職員だった谷査恵子氏による照会について「値下げをしてくれということではなく、こういう制度があるのか、これは適用されるのかっていう制度上の問いをしている」と強調。交渉ではないとの認識を示した。
首相は昨年2月に「私や妻が(国有地売却に)関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と答弁している。財務省が交渉記録を国会中に廃棄したのは同時期からだが、「残っていないとしていた財務省の答弁と事実が異なり、誠に遺憾。答弁との関係で文書を廃棄することは不適切であり、これも誠に遺憾だ」と語った。
与野党は28日に衆参両院の予算委員会で首相が出席する集中審議を開くことで合意。野党は首相と麻生太郎財務相の政治責任を厳しく追及する方針で、攻防はヤマ場を迎える。