安倍政権が今国会で最重要法案と位置づける働き方改革関連法案をめぐり、立憲民主や国民民主、共産などの野党は23日、衆院に高鳥修一・厚生労働委員長の解任決議案を提出した。与党は同日中の委員会での採決を目指していたが、決議案の提出で見送られた。ただ、法案は25日の同委員会で採決される見通しで、月内に衆院を通過する公算だ。
23日午後の衆院厚労委では、安倍晋三首相が出席して約1時間半の質疑が行われた。これに先立つ同日午前の理事会で、与党は野党に、この日の採決に応じるよう求めたが、野党は、裁量労働制をめぐる不適切なデータ比較問題の経緯の資料が厚労省から出てきていないことなどから審議を尽くす前提が整っていないとして反対し、与野党間で協議が続けられた。
首相への質疑が終わっても法案審議のスケジュールについて折り合わず、高鳥委員長が職権で審議を進めようとしたため、野党が反発。委員会運営は「横暴かつ強引極まるもので、決して容認できない」などとして、高鳥委員長の解任決議案を提出した。
決議案は24日の衆院本会議で採決され、与党などの反対多数で否決される見通し。その後、法案は自民、公明と野党の日本維新の会、希望の4党が合意した修正案とあわせて25日の委員会で採決され、29日の衆院本会議で採決の上で通過する公算が大きい。与党は6月20日の会期末までに成立を目指す方針だ。
法案が、立憲など野党6党が欠席する中で審議入りしたのは4月27日。与野党そろっての本格審議からはまだ2週間ほどだ。
法案は、高収入の一部専門職を労働時間規制から完全に外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」という規制緩和と、罰則付きで残業時間に上限を設ける規制強化などを抱き合わせた8本の法律の改正案を束ねたもの。最大の対立点は高プロで、立憲、国民、共産などは「過労死を助長する」と批判し、法案からの削除を求めている。(松浦祐子)