第3クオーター、リバウンドを奪い合うA東京の竹内(右)と千葉のチェンバース⑩=飯塚晋一撮影
男子プロバスケットボール・Bリーグのチャンピオンシップ決勝が26日、横浜アリーナで行われ、アルバルク東京(A東京、東地区2位)が千葉ジェッツ(千葉、東地区1位)に85―60で快勝し、初優勝した。A東京の田中大貴がMVPに選ばれた。優勝賞金は5千万円。観客数は1万2005人で、昨シーズン決勝の1万144人(東京・国立代々木競技場)を上回った。
A東京が初優勝、MVPは田中大貴 Bリーグ
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A東京は激しい防御からリズムをつかみ、第2クオーター(Q)の終盤に連続得点でリードを広げて、43―33で折り返した。後半になっても動きは落ちず、千葉の追い上げを許さずに点差をさらに広げた。
A東京はトヨタ自動車が前身。2016年秋のBリーグ発足後、2シーズン目で初の決勝進出を果たし、タイトルをつかんだ。
(26日、A東京85―60千葉)
「スコアボードを見るな。目の前の一つのプレーを全力でやれ」
第2クオーター(Q)残り2分51秒。A東京は30―31と逆転を許し、流れは相手に傾きかけた。たまらずに取ったタイムアウトの中で、ルカ・パビチェビッチヘッドコーチ(HC)が叫んだ。
HCの激しい剣幕に、やるべきことを思い出した。「みんなが目の前のことに集中できた」と田中大貴。A東京のギアが一段上がる。激しい守備で相手にシュートすら打たせず、速攻。田中の積極的な切り込みから連続で得点を奪い、前半で10点差をつけて折り返した。
A東京の運動量は最後まで落ちなかった。「リードしたら相手は焦ると思った」。田中の狙い通り、富樫をはじめ千葉の選手のいら立つ姿が、試合が進むにつれて目立ってきた。結局、後半は一度も追いつかれることなく逃げ切った。
A東京はBリーグ「元年」の昨季、琉球と開幕カードを戦うなど、「エリート」と呼ばれたチームだが、日本協会の技術アドバイザーから、今季就任したパビチェビッチHCの下で泥臭い守備のチームに生まれ変わった。基礎から徹底的に見直し、毎日うんざりするほど同じ練習を繰り返した。「妥協しない。怒ると疲れると思うけど、熱量が落ちない」とベテランの竹内譲次も感心するほど、試合でも同じことができなければパビチェビッチHCは猛然と怒ったという。
決勝に向けても1週間、相手の映像を見て守備のイメージをたたき込んだ。速攻を主体とした攻撃が持ち味で、レギュラーシーズンの1試合平均84・5点の千葉を、60点に抑えての完勝だった。
「守備の勝利です」。勝因を聞かれ、田中はそう言い切った。(河野正樹)
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