青ケ島は、噴火口の中に噴火口がある世界的にも珍しい二重カルデラ地形になっている=2016年11月22日、東京都青ケ島村、中山由美撮影
全国の自治体で最も人口が少ない東京都青ケ島村(人口163人)でずさんな事務処理による契約が繰り返され、不適正な契約が昨年8月までの3年間で少なくとも44件、総額2億2千万円に上ることが村への取材でわかった。このうち都の交付金は計約1億円含まれており、都は30日から担当者を村に派遣して調査する。
壊れた島の模型、契約書なし 不正続々、課長は島を出た
村は昨年9月から調査し、青ケ島をかたどった立体模型の制作(1500万円)▽ホームページ制作など特産の焼酎拡販(計約2千万円)▽太陽光パネル設置(約3千万円)など44件の契約について、事務処理が不適正と認定した。このうち村内の電気設備会社との照明設置や塗装工事などの契約22件(計約5100万円)はすべて契約書がなかった。ほかにも、理由なく随意契約にしたり、見積書がなかったりした契約もあった。いずれも前総務課長が契約事務を担当していたという。
村によると、9年前に組織改編し、二つあった課を総務課に統合。副村長はおらず、決裁業務は前総務課長が実質的に一人で担っていた。問題発覚後の昨年9月、前課長は降格。その後辞職して退職金を受けとり、島を出た。
前課長は降格前、朝日新聞の取材に対し、決裁書に勝手に村長印を押したり、理由なく随意契約を繰り返したりしたことを認め、「慣例的にやっていた」と述べた。
都によると、都の交付金は44件のうち13件に計約9500万円入っている。また離島活性化交付金など国の交付金や補助金が含まれた契約は4件で計約4500万円だった。
都は「自治体の契約で、契約書や請け書がないことはあり得ない」と話す。都は村に説明を求め、昨年11月に村から調査結果が報告された。30日からの調査で不適正と確認できた分は村に返還を求める方針だ。
伊豆諸島の青ケ島は面積約6平方キロ。青ケ島村の一般会計予算は年間約10億円。(中山由美)