学校法人森友学園(大阪市)をめぐる一連の問題で、財務省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長や美並義人・近畿財務局長らを証拠隠滅や背任容疑で告発していた醍醐聡・東大名誉教授らで作る市民団体が4日、大阪地検の不起訴処分を不服として大阪検察審査会に審査を申し立てた。醍醐氏らが同日、都内で会見し、明らかにした。
佐川氏、改ざん前文書「このままでは外に出せない」
特集:森友学園問題
大阪地検特捜部は先月31日、国有地の大幅値引き売却や決裁文書を改ざんした全ての告発容疑について、財務省幹部ら38人全員を不起訴処分とした。佐川氏は嫌疑不十分とした。
醍醐氏らは、申立書で、大阪地検の不起訴処分について「免罪した判断の甘さには驚かざるを得ない」などと批判。一連の問題を「行政、政治、国家の私物化と言われる事態」として、刑事事件として立件されなければ、「我が国の民主主義は地に落ちてしまう」と指摘した。そのうえで、検察審査会に「起訴相当」または「不起訴不当」と議決するよう求めた。
申立書は、佐川氏の証拠隠滅容疑について、「明らかな虚偽答弁により、積極的に近畿財務局職員の(背任)事件の証拠を闇に葬った」などと指摘。また、美並氏の背任容疑については、「国有財産の譲渡は、自由な価格交渉が許されておらず、(学園側に実施したような)値引きの根拠はあり得ない」と指摘している。
申し立てを受け、検察審査会は今後、くじで選ばれた11人の市民が大阪地検の不起訴処分の当否を判断する。「起訴相当」か「不起訴不当」が議決されれば、大阪地検は再捜査を迫られることになる。