JR大阪駅構内にあった巨大砂時計=大阪市北区、2003年4月23日撮影
JR大阪駅で待ち合わせの目印として親しまれた大きな砂時計が、8年前に解体され、「子午線のまち」兵庫県明石市の下水ポンプ場で眠っている――。そんな風の便りが、「砂のまち」のシンボルとなるモニュメントを探してきた鳥取市の鳥取商工会議所に届いた。時の流れを取り戻す新天地となるのか。
砂時計は高さ4・5メートル、幅5メートル、重さ5・7トン。2003年に大阪駅ビルの運営会社「大阪ターミナルビル」が6500万円をかけ、1階中央コンコース南側に設置した。60キロの砂が1時間かけて落ち、オルゴールの音色とともに半回転する仕組みで、「サンドファンタジー」の愛称もついていた。
8年前に大阪駅の大規模改装で撤去され、日本標準時の東経135度子午線が通る明石市が、無償で譲り受けた。JR明石駅前に16年に完成した再開発ビル「パピオスあかし」の広場に置く計画だったが、「大きすぎて広場の利用が制限される」などの声が上がって断念した。砂時計は譲渡された際に解体されており、部品ごとに丁寧に梱包(こんぽう)して市内の西岡ポンプ場で保管している。市によると、再び組み立てて設置するには約2千万円かかる見込みで、担当者は「具体的な活用案はない」という。
大きな砂時計としては、島根県大田市の仁摩(にま)サンドミュージアムにある全長5・2メートルの1年計が、15年にギネス世界記録に認定された。砂が落ちる量を調節するくびれ部分「オリフィス」などの特殊ガラスを製作した柴田科学(埼玉県草加市)は、大阪駅にあった砂時計の製作にも関わった。4、5メートル級の巨大砂時計はこの二つだけといい、同社の担当者は「希少性は高いが、1時間計は待ち合わせ場所くらいしか使い道がなく、活用が難しいのだろう」と惜しむ。
目を付けたのが、鳥取商工会議所だ。鳥取砂丘をPRしようと14年、JR鳥取駅前に仁摩を超える全長6メートルの世界最大の砂時計(1時間計)の設置を計画したが、製作費が3億2千万円と高額なうえ、市民アンケートでも反対が上回り、昨夏に断念した。しかし、砂をテーマにしたモニュメントを設置する方針は変えていない。
今月6日、鳥取商議所の担当者が明石市を訪れ、砂時計の保存状態などの説明を受けた。商議所の横山憲昭・企画広報課長は「受け入れる価値は十分ある」と話し、所内で前向きに検討していくという。(波多野大介)