現在の終点・井川駅の奥には堂平駅まで線路が延びていた。廃線跡の遊歩道にはトンネルも残る=静岡市葵区、早坂元興撮影
終着駅の先にも線路は続くのか?
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“テツ”の広場
大井川鉄道井川(いかわ)線では、続く。
静岡県中部を南北に貫く大井川。流れに沿うように走る大井川鉄道の本線からさらに北、山深い地を目指して井川線は延びる。本線終点の千頭(せんず)から最北の井川までは14駅、25・5キロ。
そこからさらに、少し色あせた線路が続く。中部電力による井川ダムの建設に際し、資材運搬のために1954年に敷設された。井川の一つ先にはかつて「堂平(どうだいら)」という貨物駅があった。
井川地区(静岡市)を含む南アルプスがユネスコエコパークに登録されるにあたり、市は5年前、この廃線軌道を遊歩道として整備した。枕木をまたいで砂利を踏みしめながら歩くと、エメラルド色に輝く井川湖が眼前に広がる。しばらく行くとトンネル。「うわー、光ってる」。頭上のつららを、埼玉県から「秘境観光」に来たという姉妹がスマートフォンで撮影していた。
電源開発を目的とした井川線は…