金融政策決定会合後に記者会見する日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁=2018年6月15日午後、東京都中央区の日銀本店
日米欧の中央銀行の実力差か。それとも総裁や議長の統治力の違いか――。ここにきて主要3中央銀行で、米欧と日本の政策の方向性の違いがはっきりしてきた。
もはや米欧と逆方向へ 日銀「現状維持」の強弁いつまで
黒田日銀総裁「信ぜよ、さらば救われん」 会見やり取り
13日に米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が今年2回目の利上げを決めた。翌14日には欧州中央銀行が年内に量的緩和を終了すると発表した。いずれも危機モードの金融政策を、平時モードへと戻す動きである。
ところが直後の15日、日本銀行は金融政策決定会合(年8回開催)を開いて、まったく異なる決定を下した。異次元緩和政策の「現状維持」である。
2008年9月のリーマン・ショックから10年。世界的な金融危機を乗りきるため、緊急異例の措置として始めた超金融緩和は、米欧ではようやく「出口」を迎えつつある。
米欧の両中央銀行の意図は明確だ。景気拡大が長期に及ぶなかでも超緩和を続けてきたことで、副作用がきわめて大きくなっている。おまけに、今の景気拡大はいつ下降局面に入るかわからない。いざというときに切り出せる緩和カードを、今のうちに確保しておきたい。それには早め早めの引き締めで「のりしろ」を作っておく必要がある。
これに対し、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は15日の記者会見で「現在の金融緩和を粘り強く続けることが適当」と述べ、米欧路線とはっきり一線を画した。
出口戦略の具体策を語ることに…