現場の見取り図
那覇空港で14日夜、航空自衛隊のF15戦闘機が管制官の指示に反して滑走路内に進入し、同じ滑走路に着陸しようとしていた民間機が着陸を中断するトラブルがあった。国土交通省は15日夜、深刻な事故につながりかねない重大インシデントに認定。国の運輸安全委員会は16日午前、事故調査官を現地に派遣した。
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防衛省によると、F15戦闘機2機は当時、領空侵犯のおそれのある航空機に対処するため、緊急発進(スクランブル)の指示を受けて滑走路に向かっていた。
国交省によると、那覇空港の管制官は14日午後8時25分ごろ、F15戦闘機に対し、離陸に備えるため、滑走路手前の誘導路上で待機するよう指示した。ところが戦闘機は停止位置を越えて滑走路内に進入、管制官は戦闘機に滑走路からの離脱を指示した。この時、滑走路の約5キロ手前では、琉球エアーコミューター804便(ボンバルディアDHC―8―402型、乗客乗員35人)が高度約300メートルまで降下し、着陸態勢に入っていた。このため管制官は琉球エアーコミューター機への着陸許可を取り消し、危険を回避した。
その後、F15戦闘機が滑走路を離脱。管制官は琉球エアーコミューター機に改めて着陸許可を出し、同機は午後8時27分に着陸した。けが人はなかった。
防衛省関係者によると、2機のうち1機目のパイロットが管制官の指示を勘違いした可能性があるという。その後緊急発進の必要がなくなり、離陸せずに待機場所に戻った。
那覇空港は民間と自衛隊の共用空港。2015年6月には航空自衛隊のヘリコプターと民間機2機が接近するトラブルが発生。運輸安全委員会が当時の調査報告書で、ヘリの操縦士が管制官の指示内容を誤認したことなどがトラブルにつながったと指摘している。(伊藤嘉孝、古城博隆)