昨年の総踊り=徳島市
今夏の阿波踊りを運営する徳島市は14日、一日の祭りのフィナーレを飾ってきた有名連(踊り手のグループ)の「総踊り」を中止する方針を明らかにした。代わりに、4カ所の有料演舞場に複数の有名連を配置して盛り上げるという。演舞場のチケットの販売率を上げるのが狙い。だが、阿波踊りを象徴する「総踊り」の中止には、批判の声も出ている。
「総踊り」は阿波踊り期間中、連日午後10時から南内町演舞場で開かれてきた。有名連のうち、阿波おどり振興協会に所属する連の約2千人が一堂に会する華やかな踊りで、観光客の人気も高い。一方、総踊りに合わせて有名連が南内町に集まるため、「他の演舞場で見られる有名連が少ない」という声もあった。
市観光課のまとめでは、昨年の阿波踊り最終日(8月15日)の第2部(午後8時半~10時半)の演舞場ごとのチケット販売率は、南内町が100%だったのに対し、藍場浜と紺屋町は約50%、市役所前は約30%と低迷したという。
総踊り中止の方針は、14日の市議会産業交通委員会で市側が表明。フィナーレとして、4演舞場に有名連を5、6連ずつ配置する演出をする計画を示した。これに対し、委員からは「総踊りをなくすなんてとんでもない」などの批判が相次いだ。
豊井泰雄第二副市長は議会後「今年はすべての演舞場で(最後に)有名連の踊りが楽しめる形にする。チケットの売り上げの向上につなげたい」と説明した。
15日には南内町演舞場の特別席のチケットがインターネットで発売される。市は「阿波おどりチケットセンター」のホームページ(
http://fan.pia.jp/awaodori-kanko/
)などで、総踊りがないことを注意喚起している。ただ、販売価格は昨年と同じ5千円(前売り)で、7月1日発売の他の演舞場のチケット(S席2千円など)よりも高額だ。ある委員は「総踊りを楽しみにチケットを買うファンもいる。しっかりと周知して、混乱が起きないようにしてほしい」と話した。(佐藤常敬)