布勢スプリントの一般女子100メートルに出場した高橋萌木子
陸上女子の100、200メートルで日本記録保持者の福島千里(セイコー)と同学年同士でしのぎを削り、かつて女子短距離界をリードした高橋萌木子(ももこ)(29)が復活に向けて走り始めている。近年、両足のアキレス腱(けん)痛に悩まされてきたが、それも癒えつつあり、昨年10月から鳥取のトレーニング研究施設「ワールドウィング」に所属して、競技に取り組んでいる。
高橋は、埼玉栄高時代の2006年に100メートルで史上初の高校総体3連覇を達成した。平成国際大に進んだ翌年、日本選手権の100メートルを制し、大阪世界選手権に出場した。その後は、福島に差をつけられたが、12年ロンドン五輪のリレー要員に選ばれるなどトップレベルで活躍。ただ、けがもあって不振が続き、15年秋に所属していた富士通を退社した。
「何度も競技をやめようと思ったが、そのたびに周囲の人が止めてくれた」と高橋。福島もその一人で「ここという時に連絡をくれたり、会ったりした」という。2年間は、アルバイトや貯金を切り崩しながら競技を続け、昨秋から、男子100メートルの前日本記録保持者伊東浩司やイチロー(マリナーズ)ら多くのスポーツ選手が指導を受ける「ワールドウィング」(小山裕史代表)の所属となり、トレーニングを積んでいる。
3日に、所属先のある鳥取で開催された布勢スプリントでは、一線級のクラスより下の一般100メートルに出場。12秒16と、自己記録で日本歴代2位の11秒32には遠く及ばないが、「やっと光が見えてきた」と笑顔。「もう一度、(福島ら)みんなのいる舞台に立ちたい。そこまでこつこつやっていく」と意欲を語っていた。(堀川貴弘)