前半、イランのアズムン(奥)のシュートはモロッコのGKカジュイ(手前)に阻まれる=ロイター
(15日、イラン1―0モロッコ サッカー・ワールドカップ)
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ボール支配率は、わずか37%。相手の猛攻に耐え続けたイランに、勝利の女神が最後にほほ笑んだ。
イランに20年ぶりのワールドカップ(W杯)の勝利をもたらしたのは、相手のオウンゴール。後半の追加時間、左FKからの鋭いクロスボールが、相手選手の頭に当たり、そのままゴールに飛び込んだものだった。
W杯開幕直前、米国のスポーツ用品大手ナイキが政府の経済制裁を理由に、イラン代表選手にシューズを提供しなくなったという報道が出た。報道などによると、2015年以降の措置というが、国外でプレーし、シューズの提供を受けていた選手が最近、イラン代表になったことで提供が止まったという。
サッカーにおいて、ボールを除けば、シューズは数少ない道具の一つだ。各チームの協会が一つのメーカーと用具提供の契約を結んでも、選手が自ら契約を結び、他のシューズを使うことが認められているほど重要なものだ。
特にFKを蹴る選手はシューズによって履き心地など微妙な感覚のずれを気にすることが多い。こだわる選手はシューズ数足を用意し、試合の状況、芝生の生え方などにあわせて替えている場合もある。イランのケイロス監督も「選手はそれぞれのシューズに慣れているので、あまり好ましくない」と批判した。
イランはシューズの問題だけでなく、大会前の一部の親善試合も中止になった。そんな苦難の連続を乗り越えての勝利。ケイロス監督の試合後の言葉が痛快だった。「こうした困難が奮起につながる。選手たちには言ったんだ。ほかの国の選手と同じようにサッカーを楽しもうと。それを選手たちが見せてくれた」(河野正樹)