台湾の外交部(外務省)は18日、日本航空(JAL)と全日空(ANA)がホームページ上で「台湾」の表記を一部で「中国台湾」に変更したとして、抗議すると発表した。中国側が世界の航空会社に対し、台湾を中国の一部として表記するよう求めており、両社はそれに応じたという。
JALとANAによると12日から、中国向けの中国語の簡体字サイトと香港向けの繁体字サイトで、目的地を検索する画面などで「中国台湾」という表記を導入した。日本語や英語サイト、台湾向けの繁体字サイトは従来の「台湾」のままにしている。
中国政府は4月25日、世界44の航空会社に書簡を送り、「一つの中国」原則に基づいて台湾を表記するよう要求。従わない場合は中国の法律違反として処分する構えを見せていた。5月下旬までに、エア・カナダなど18社がホームページを修正し、JALやANAも対応を検討していた。
今回の対応について、両社の広報部は共に「中国側、台湾側、それぞれの利用者が閲覧する画面において、分かりやすく、受け入れやすい表示に切り替えた」と説明している。
中国は、台湾と外交関係を結ぶ国々に断交を働きかけるなど外交圧力を強めており、航空会社への修正要求もその一環とみられる。台湾外交部は18日、日本の航空会社への抗議を表明する一方で、国際社会に対して、「中国の無理な要求を拒む道徳と勇気を発揮してほしい」と呼びかけた。
日本政府は18日までに、外交ルートを通じて中国側に懸念を伝えた。日本政府関係者は「最終的な対応は各社に任せている」としながらも、「罰則を設けて民間企業を脅すようなやり方は好ましくない」と話した。(西本秀=台北、鬼原民幸)