スウェーデンのシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所」は18日、今年1月時点の世界の核保有数の推計を発表した。米ロ英仏中とインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の計9カ国が持つ核弾頭数は、計1万4465発で、前年より470発減った。米ロによる削減で全体の減少傾向は続いているが、両国ともミサイルの近代化を進めていると指摘した。
報告書によると、世界の核兵器の9割以上を保有する米国とロシアは、2011年に発効した新戦略兵器削減条約(新START)に沿って、核弾頭の削減を進めている。ただ、米ロともに、「核弾頭やミサイル、航空運搬システム、核兵器製造施設の更新や近代化をはかるため、広範で高額な政策を進めている」と、新たな核システム開発が進んでいるとした。
研究所のジャン・エリアソン理事長は「(核保有国が)核抑止力と核能力の戦略的な重要性に改めて注目することは、非常にやっかいな傾向だ」と指摘。そのうえで、「世界は、核軍縮に向けた効果的で法的拘束力のある工程について、核を持つ国々からの明確な約束を必要としている」と強調した。
中国、インド、パキスタンの核弾頭数は、それぞれ前年より10発増え、280発、130~140発、140~150発と推計した。北朝鮮については10~20発で変わらないとしたが、報告書は「引き続き核開発を国家安全保障戦略の中心要素として優先させている」と指摘した。(ロンドン=下司佳代子)