ブラジル大会のコロンビア戦で前半、シュートを放つ大久保(中央)=2014年6月24日
屈辱的な敗北から4年。日本が19日、再びW杯の舞台でコロンビアと相まみえる。2014年ブラジル大会では1―4で惨敗し、1次リーグ敗退が決まった。ピッチに立った選手の証言からあの試合を振り返る。
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「足が止まるくらいのパススピード。正確なトラップ。1対1の強さ。すべてが想像を超えていた」とJ1ガ大阪の今野泰幸はいう。前半17分に与えた先制点は、自身の反則によるPKだった。スライディングで相手に足をかけてしまった。「出足も球際も自信があったが、上をいかれた」
前半の終了間際にFW岡崎慎司のゴールで1―1と、追いついた。膨らみかけた日本の期待を吹き飛ばしたのが、コロンビアの背番号10だった。今野は「彼が前を向くと、FWたちが動き出す。恐怖でしかなかった。あの選手がすべてを変えた」。後半開始からピッチに立ったコロンビアのMFロドリゲスだ。
後半10分、試合が動く。ペナルティーエリアで球を持ったロドリゲスに日本のDFたちが寄せた瞬間、マークが外れた選手にパスを通され、勝ち越し点を決められた。今野は「ずっしりきた。逆転するにはものすごいパワーが必要だったから」。勝つ以外に1次リーグ突破の可能性がなかった日本には、重すぎる失点だった。
「つけいるスキは絶対にあると思っていた」と語るのはJ1川崎のFW大久保嘉人だ。コロンビアは、日本戦を待たずして決勝トーナメント進出を決めており、前の試合から先発を8人も入れ替えてきた。
大久保は試合開始直後から、相手の守備的MFとDFの間にスペースがあるのに気づいていた。MF香川真司らとともにそこへ入り込み、何度もシュートまで持ち込む。だが、得点には結びつかない。
1点を追う後半20分、日本に大きなチャンスが訪れた。右サイドを岡崎とのパス交換で抜け出した現J1鹿島のDF内田篤人から、低くて速いクロスがゴール前へ送りこまれる。瞬時に反応した大久保がゴール前へ。右足を合わせようとした瞬間、数メートル後方に置いてきたはずの相手選手に、強く体を寄せられた。強烈なシュートは、クロスバーの上へそれた。
「南米の選手は身体能力が高く、位置取りが悪くても追いついてくる。その感覚の違いには、試合を重ねて慣れるしかない」。無得点に終わった大久保が、強く感じたことだ。
コロンビアを追いかける展開になった後半10分以降、日本はそれまで以上に攻撃に力を注いだ。ただ、はやる気持ちに、体はついていかなかった。カウンターからさらに2点を失い、試合終了の笛が鳴った。
あれから4年。26歳になったロドリゲスを中心に今大会もコロンビアは強力だ。今野に番狂わせを起こすのに必要なことを聞いた。「みんなでハードワークを頑張るしかない。何回もがむしゃらにプレッシャーをかけて、パスを出されたら戻る。そのなかで速い攻撃の精度を上げていけばチャンスはある」(岩佐友、清水寿之)