女子1万メートルで優勝し、笑顔を見せる松田瑞生=加藤諒撮影
陸上の第102回日本選手権大会は8月のジャカルタアジア大会の代表選考会を兼ねて22日、山口・維新みらいふスタジアムで開幕、男女7種目の決勝があり、女子の1万メートルでは松田瑞生(みずき)(ダイハツ)が31分52秒42で2連覇を飾った。男子100メートルは予選と準決勝があり、9秒98の日本記録をもつ桐生祥秀(日本生命)のほか山県亮太(セイコー)、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)、多田修平(関学大)らが順当に23日の決勝に進んだ。
このほか、男子1万メートルは大六野(だいろくの)秀畝(しゅうほ)(旭化成)が初優勝。女子走り幅跳びで高良(こうら)彩花(兵庫・園田学園高)、同走り高跳びで仲野春花(早大)がそれぞれ2連覇を飾った。
1年前と同じ一騎打ち
女子1万メートルは、昨年の日本選手権のビデオを見ているような終盤だった。8200メートル付近で鈴木が前に出る。松田がぴったりついて先頭は4人から2人に。1年前と同じ一騎打ちが始まった。
昨年、最後の直線で松田のスパートにやられた残像があったのか、鈴木は早めにしかけた。「自分の判断で出た」。残り1周でまだ約10メートル差。「負けるかも。どうしよう」と思いかけた時、松田の生粋の負けず嫌いが顔を出した。残り200メートルでとらえ、軽々と逆転した。
初マラソンだった今年1月の大阪国際女子で2時間22分台で優勝。鮮烈なデビューを飾り、東京五輪に向けてマラソン志向に切り替えた。当初はこの日本選手権に出る予定もなかった。しかし、「(出ないと)気持ちが入らないから」と林監督に出場を指示された。
「出るからには勝って跡を残したい」。マラソン練習からトラックのスピード練習に切り替えるのには苦しんだ。「体の切れがなくなっていた」。それでも短期間で仕上げてきたのは、地力がついた証拠だ。
1万メートルのアジア大会代表の内定条件はクリアしたが、辞退するつもりだ。今年最大の目標であるベルリン・マラソンが9月にある。「この優勝でベルリンへのいい土台ができました」
2時間19分12秒の日本記録になるべく近づきたいと話す松田は2時間20分30秒前後を考えていた。が、林監督には「2時間19分台はいける」と言われている。(酒瀬川亮介)