首相官邸に入る安倍晋三首相=2018年6月26日午前7時48分、岩下毅撮影
安倍晋三首相は26日、米国を除く11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP11)の関連法案を審議する参院内閣委員会に出席した。首相は「我が国のGDPを8兆円押し上げ、46万人の雇用につながる」と経済効果を強調。与党側は十分な審議をしたとして、同日中に採決したい考えだ。
TPPをめぐっては、いったんは米国を含む12カ国で合意したが、トランプ米大統領が昨年1月に離脱。TPP11は、工業品や農産物の関税撤廃・削減など主要なルールをそのままに、今年3月に改めて11カ国で署名した。
トランプ氏はTPPへの復帰に否定的だが、首相は「米国の参加は大きな力を持つ。保護主義によるものではなく、TPPへの復帰こそ米国の経済や雇用にとってもプラスになる」とし、今後も復帰を働きかけていく方針を示した。
与党は26日の参院内閣委の理事会で、TPP関連法案の採決を提案した。野党側は首相らの答弁をみて判断すると回答。採決については引き続き、与野党で協議することになった。
一方、安倍政権が今国会の最重要法案と位置づける「働き方改革関連法案」をめぐっても、26日に首相が出席する質疑が参院厚生労働委で行われる。与党は委員会前の理事会で、改めて同日の採決を提案した。
両法案に反対する野党側は、与党が採決を強行する場合、TPP担当の茂木敏充経済再生相や加藤勝信厚労相に対する問責決議案を提出して対抗することも視野に入れる。問責決議案は法案審議よりも優先されるため、採決を先送りできる。ただ、問責決議案は1回しか提出できないため、提出については与党の出方を慎重に見極める方針だ。