国宝木簡てぬぐい=奈良文化財研究所提供
奈良文化財研究所(奈文研)が、奈良市の平城宮跡で出土した国宝の木簡や、倒壊した回廊がそのままの姿でみつかった奈良県桜井市の山田寺跡(特別史跡、7世紀)の実測図をモチーフにしたオリジナルのてぬぐいをつくった。多くの人に考古学に親しんでもらおうと企画されたが、てぬぐいに登場する木簡の詳細な解説書もつくるなど、考古学ファンも満足させるこだわりの内容だ。奈良県明日香村の飛鳥資料館などで販売されている。
「国宝木簡てぬぐい」(縦37センチ、横90センチ、税込み千円)は、2017年に木簡として初めて国宝に指定された「平城宮跡出土木簡」をデザインに採用。3184点の国宝木簡の中から「第一号」の番号を与えられた木簡や、円盤状などの木簡など計32点を選び、木簡を収蔵庫の引き出しの中に並べて撮影した。
木簡が出土してから収蔵庫に保管されるまでのプロセスを解説したミニブックも同封。もっと詳しく内容を知りたい人のために、詳細な解説書を無料でダウンロードできるようにした。
一方、「山田寺てぬぐい」(同、税込み800円)は、1982年からの発掘調査で、倒れた状態のままでみつかった山田寺の東回廊を精密に記録した実測図を使った。山田寺は645年の乙巳(いっし)の変(大化改新)で中大兄皇子(なかのおおえのみこ)=のちの天智(てんじ)天皇=側につき、右大臣となった蘇我(そがの)倉山田石川麻呂(くらやまだのいしかわまろ)が創建。金堂と回廊は7世紀中ごろに建てられたが、東回廊は11世紀ごろに土砂崩れで倒壊したとみられる。この回廊の部材は現存最古の法隆寺金堂よりも古い寺院建築とされ、出土部材として初めて国の重要文化財に指定された。現在、古代の姿に組み立てられて飛鳥資料館で展示されている。
企画を担当した飛鳥資料館の小沼美結(みゆ)・アソシエイトフェローは「文化財に興味がある方はもちろん、あまり興味のない方にもじっくり眺めていただき、発掘現場にも足を運んでもらえるきっかけになればうれしいです」と話す。
このほか、奈文研が所蔵する日本最古の貨幣とされる富本銭(ふほんせん)などをモチーフにしたクリアシール(税込み300円)や、平城宮跡の第一次大極殿に復元された天皇が座る「高御座(たかみくら)」の文様を使った一筆箋(せん)(税込み700円)などもある。
飛鳥資料館のほか、奈良市の平城宮跡資料館、六一書房のオンラインショップ(
http://www.book61.co.jp/
)などで販売。問い合わせは飛鳥資料館(0744・54・3561)へ。(渡義人)