打撃練習を終え、放送席の鈴木さん(左端)へ、アナウンスのお礼を言いに行った杉谷(右端)=7月27日、西武プリンスドーム
■スコアの余白
日本ハム担当になった以上、どうしても取材したい一人だった。西武球団広報部の鈴木あずささん。西武主催試合での場内放送を担当する、いわゆる「ウグイス嬢」だ。日本ハム戦で杉谷の打撃練習のときに流れる、ユーモアにあふれたアナウンスで有名だ。
待ってました「杉谷アナウンス」 ハム戦西武ドーム名物
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アナウンスは杉谷本人から頼まれたのがきっかけ、マイナス面は言わない、など一通りの話を聞き終えた後、鈴木さんのプロフィルを尋ねた。すると、「私、札幌出身なんです」。身を乗り出したとき、「札幌ドームでも働いていました」。驚きのあまり、のけぞってしまった。
鈴木さんは高校生まで札幌など道内で育ち、大学で関東に出て、卒業後、札幌に戻った。「札幌ドームで見学ツアーのアテンダントをしてました」。2003年のシーズンオフ、西武が募集した場内アナウンスの採用試験を受け、今に至る。日本ハムが札幌に本拠を移したのが04年なので、ちょうど入れ替わりだ。
日本ハムとの不思議な縁を持つ鈴木さん。「杉谷アナウンス」がいつまで続けられるかと、ふと思うときがある。基本的に試合前の打撃練習で打球の行方に注意を促す内容なので、アナウンスは観客がいるときに限られる。
先発メンバーや主力の練習は、開場前にほぼ終わっている。観客がいる時間帯に練習するのは、控え選手なのだ。「レギュラーをとってほしいのですが、ちょっと寂しい感じも……」。透き通るような声で、複雑な心境を教えてくれた。