旧優生保護法により不妊手術を強制されたのは違憲だなどとして、仙台地裁で争われている国家賠償訴訟で、国は「憲法判断は司法が下すべきだ」として違憲かどうかの見解を示さない方針を固めた。地裁から違憲性の認否を示すよう、裁判初期では異例の要請を受けていた。複数の政府関係者が明らかにした。
原告は「旧優生保護法は子どもを産むことの自己決定権を奪い、違憲だ」と訴えた。国は違憲性に触れず、救済立法しなかったのは違法ではないと主張。地裁は「判決で憲法判断をする」とし、7月末までに見解を示すよう国に求めた。国は応じないことになる。
政府内では「当時全会一致で成立した法律を、今になって違憲だったとはいえない」など、合憲と主張するべきだとの声が根強い。ただ、すでに自民・公明両党の与党ワーキングチーム(WT)と超党派議連が救済・支援法案の作成に向け協議している点を重視。最終的に「違憲かどうかを判断するのは司法であり、行政が憲法判断する理由はない」(政府高官)とした。
原告側弁護団は地裁が要請した後の取材に、「認否を示さないことは絶対に許さない」と話しており、反発は必至だ。