米トランプ政権が欧州や日本など各国に求めているイラン産原油の全面輸入禁止について、イランのロハニ大統領は22日、禁輸が実行されればホルムズ海峡を封鎖する可能性を示した。イラン学生通信が報じた。実際には、封鎖に向けた目立った動きは出ていない。米国や湾岸諸国を牽制(けんせい)することで、原油輸出を確保する狙いがあるとみられる。
同通信によると、ロハニ師は「イランは多くの海路の安全を保障しており、封鎖できる海峡はたくさんある。ホルムズ海峡もその一つだ」と言及。「イランを脅し続ければ、残念な結果を招くことになる」と語った。最高指導者ハメネイ師も21日、「イランが原油を輸出できないとすれば、他の近隣諸国の原油も輸出できないという考えはとても重要だ」と語り、封鎖の可能性を示唆した。
ロハニ師は対外融和路線を掲げる。ただ、イラン核合意から離脱して制裁の再開を表明するなどしたトランプ政権には、対決姿勢を強めている。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾の間にある海峡。日本に輸入される原油の約8割が通るとされるなど、世界のエネルギー輸送の生命線を握るといわれる。(テヘラン=杉崎慎弥)