政府は、保有する株式の配当金などを元手に民間とともに設立した「官民ファンド」を再編する検討に入った。政権の成長戦略の目玉として次々と立ち上げたが、損失の発生や非効率な運営を会計検査院が問題視しており、投資目的が重なるファンドの統合を視野に検討を進める。
各省の「第2の財布」官民ファンド 無駄遣いの温床懸念
【アーカイブ】「官マネー」ベンチャー流入 省庁ごとにファンド乱立
官民ファンドは現在14あり、うち12ファンドが2012年の第2次安倍政権発足後に設立・改組された。政権の経済政策アベノミクスを進める名目でつくられ、ベンチャー企業などを育てるため、官民ファンドの投資を呼び水に民間の投資を促すねらいがあった。各ファンドに対し、国が出資や融資した金額は18年3月時点で計8567億円。ファンドが資金調達するうえで政府が元本の返済や利子の支払いを保証した金額は計2兆9694億円にのぼる。
複数の政府関係者によると、14ファンドのうち、経済産業省所管で最大規模の「産業革新機構」を持ち株会社化して、同じ経産省所管の「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」など複数のファンドを傘下に入れる方向で検討する。そのために必要な産業競争力強化法も5月に改正している。
「1年以上かけ、省庁の枠を超…