太平洋戦争の激戦で海底に沈んだ戦闘機や艦船は、いまも朽ちた姿を残す。埼玉県草加市の水中写真家、戸村裕行さん(36)は海中に残る、こうした戦争の跡を撮り続けている。自分を含め、戦争を知らない世代が当時の人たちの思いに触れるためだ。
【写真特集】戦火の残響 艦船や戦闘機の残骸、青い海に今も
【特集】戦火の残響
西太平洋に浮かぶミクロネシア連邦のチューク諸島はかつてトラック諸島と呼ばれ、日本海軍の拠点があった。1944年2月に米軍の攻撃を受け、サンゴが群生する海には、多くの艦船が沈んだ。水深70メートルほどの場所にある駆逐艦「追風(おいて)」もその一つ。「崩れていく前に残したい」と、3年ほど前に撮影した。
戸村さんは20代前半、趣味でダイビングの資格を取り、海中の生物に触れるうちに、独学で水中写真を学んだ。歴史にも興味があり、沖縄・古宇利島沖に沈む米海軍の掃海艇エモンズを撮影。「一つひとつに歴史がある。もっと直接見て知りたくなった」
約8年かけて激戦地となった島…