国連安全保障理事会の制裁決議で昨秋以降、北朝鮮労働者の新規受け入れが原則禁止になったにもかかわらず、ロシアが北朝鮮人に労働許可を出していたと米紙ウォールストリート・ジャーナルが2日、報じた。決議違反の可能性があるという。
ロシア内務省の記録から、昨年9月の決議以降、ロシアで1万人以上の新規の北朝鮮労働者が登録されたことが分かったほか、別の労働当局の記録によると、今年に入って少なくとも700人分の新規の労働許可が出されていたという。
安保理は北朝鮮の6回目の核実験を受けた昨年9月の決議で、人道支援の関係者らが事前許可を得た場合を除き、各国が北朝鮮労働者に新規の労働許可を出すことを禁じた。北朝鮮の労働者派遣は、核・ミサイル開発などにあてる外貨稼ぎが目的と見られている。
一方、ロシアは今年3月に国連に提出した制裁履行状況の報告書に「北朝鮮に対する安保理の制裁が求める措置を厳格に実施している」と記している。
ロシアは安保理で最近、中国とともに対北朝鮮制裁の緩和に前向きな動きを見せている。(ワシントン=金成隆一)