約3万年前に台湾付近から琉球列島(南西諸島)へ、人類はどうやって渡ったのかを検証する航海実験に向け、国立科学博物館などの研究チームが31日、スギの丸太を削る古代舟づくりの様子を公開した。この日はプロジェクトを応援する俳優の満島ひかりさんも石斧(せきふ)を振るった。航海は来夏の予定だ。
約20万年前にアフリカで誕生した現生人類は、約3万8千~2万5千年前に日本に渡ってきたとされている。研究チーム代表の海部陽介・国立科学博物館人類史研究グループ長によると、そのルートは三つ。その一つが台湾から琉球列島を北上したルートだが、流れの強い黒潮を横切り、どうやってたどり着いたのかは分かっていない。
その謎に迫るため、研究チームは当時からある道具や材料で渡航を再現する実験を続けている。2016、17年には乾燥した草を束ねた草舟や竹の筏(いかだ)で挑戦したが、海流に阻まれて断念。今回は直径1メートルのスギの丸太を石斧で削って古代舟を再現し、再挑戦することにした。
この日、古代舟づくりに参加した満島さんは「冒険物語を聞いているようでロマンを感じる。石斧はやはり重い」と話していた。
東京・上野の国立科学博物館で、8月7日まで古代舟づくりが無料公開されている(1、2日は製作作業休止)。海部さんらは活動費をクラウドファンディング(
https://readyfor.jp/projects/koukai2
)で募っている。(杉本崇)