上昇が続いている長期金利は2日、一時0・145%をつけ、1年半ぶりの高値となった。これを受けて日本銀行は急きょ、予定になかった異例の国債の買い入れを通知した。7月31日に政策を修正した日本銀行が、どこまで長期金利の上昇を容認するか、市場が試すような展開になっている。
2日朝の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0・145%をつけた。2017年2月3日以来の高値だ。日銀が金融政策決定会合で、金利の変動幅を「プラスマイナス0・2%程度」まで大きくする政策修正を明らかにしたためだ。7月31日の終値から2日間で0・085%幅も急騰する事態となった。
これに対して日銀は2日午後、長期国債を約4千億円買い入れると通知した。17年2月以降、日銀は国債を買い入れる日を前月末に事前に公表している。2日は事前予定になく、初めて予定外の買い入れを行った。
日銀は30日以前は、金利が0・1%前後に近づくと、金利を指定して無制限に国債を買い入れる「指し値オペレーション(オペ)」を実施してきた。この日の買い入れは価格が入札方式で決まり、指し値オペとは異なる。
SMBC日興証券の森田長太郎氏は、日銀が0・2%程度まで金利上昇を容認する姿勢に変わった手前、「(金利を指定する)指し値オペは、日銀の金利の容認水準を実際より低く示すことになりかねず、ふさわしくないと判断した」と分析。「金利上昇のスピードを緩やかにするため、指し値オペではなく、予定外の国債買い入れの措置を選んだ」と見る。長期金利はその後下落に転じ、0・115%で取引を終えた。
市場では、「日銀がどこで指し値オペに入るのかによって、日銀の容認する金利水準が明確になる。指し値オペに入る時期と水準が次の注目点だ」(東短リサーチの加藤出氏)との声が上がる。
日銀の雨宮正佳副総裁は2日、京都市での政財界との懇談後の記者会見で、政策修正後の長期金利については、「(市場反応からみた政策の)評価は時期尚早」としながらも「金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買い入れを実施する方針で臨んでいる」と、金利水準が急速に上がることは許容しないことを強調した。
また、黒田東彦(はるひこ)総…