日本銀行は3日、6月14~15日の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。7月末の政策修正の「前哨戦」ともいえる会合で、政策委員からは長期化する金融緩和の副作用への懸念の声が相次いだ。一方、物価上昇率2%が遠い中で目標達成への姿勢を示すべきだとの主張もあり、結局「どっちつかず」な政策修正につながったことがうかがえる。
緩和の副作用への懸念で目立ったのが、長期金利を抑えるための大量の国債買い入れによる弊害だ。日銀の買い占めで民間の国債売買が急減し、取引が成立せずに、長期金利の指標の国債利回りがつかない日が続発した。
ある政策委員は「市場機能を維持する観点から、市場調節をより弾力的に運営していくことも重要である」と述べた。無理に国債を買い占めるのをやめ、一定の利回りがつくようにすべきだとの意見だ。「次回会合で強力な金融緩和を継続することに伴う、国債市場への影響も(物価検証に)合わせて点検・議論することが必要」との意見もあった。
上場投資信託(ETF)の買い入れについても、ある委員が「考え得る副作用について、あらゆる角度から検討を続けるべきだ」と述べた。こうした声が相次いだため、政策修正では一定の金利上昇を容認し、ETF買い入れも減額する可能性に言及した姿勢に転じたとみられる。
一方、物価目標達成のためにも、「広い意味でのコミットメント(約束)を改善する工夫を講じることが望ましい」「追加的なコミットメントが必要」といった意見もあった。
副作用への配慮に傾き、緩和姿勢を緩めることに否定的な「リフレ派」委員の意見とみられる。こうした声にも配慮し、政策修正では金利上昇を容認する一方、当面は超低金利を続けると明確に約束する「フォワードガイダンス(先行きの指針)」も示すことになったとみられる。(湯地正裕)